PROFESSIONAL POINT
プロが教えるスパイスづかい
「湯気」田口雄一
新中野駅から徒歩7分ほど。大通りから少し入った道沿いに「湯気」は現れる。連日予約客で賑わう店内で、腕を振るうのは店主の田口雄一さん。会社員時代に恩師と出会い、料理教室に通い詰めて中華料理を学んだ。田口さんの料理に共通するのは、“軽やかな中華”。米油を使ったさらりとした口当たり、削ぎ落とされた食材。油をたっぷりと使うボリュームある中華とは違う、どこか肩の力が抜けた凛とした軽さがある。
シンプルだからこそ一つひとつの食材が粒立ち、奥からほのかに香るスパイスが器の中で調和。食感や塩加減、立ち上るスパイスの香りもすべて計算されたものだということが分かる。
SPICE
田口雄一シェフのスパイス使い
「煮込みというと一般的に醤油や酒、砂糖で味つけをしますが、 そこにスパイスを加えると一気にエキゾチックな雰囲気になるので好きです。あとは、スパイスを低温でじわじわと加熱して香りを移すことが多いですね。焦げには注意ですが、焦げる一歩手前の香りと焦げの境界を狙うとおいしくできます。」
STORAGE
カウンター上には、師匠から受け継いだスパイスを
「スパイスは乾燥しているので、長く保存が可能です。カウンター上に並ぶ瓶は、自分の師匠から譲り受けたもの。常時使うものではありませんが、お守りのような存在です。よく使う花椒や八角は、水分がでないので、店では密封して冷凍保存しています。」
常備スパイス
花椒・クローブ・フェンネルシード・スターアニス
「好きな組み合わせは、フェンネルとクローブで煮込みに入れることが多いです。そこにスターアニスを加えると独特な甘い香りが加わってさらにまとまりが良くなります。花椒はミルで細かく挽いたものを麻婆豆腐に最後かけたりするなど登場シーンが多いですね。」