PROFESSIONAL POINT
プロが教えるスパイスづかい
「パーラー江古田」原田浩次
東京・江古田に店を構え、滋味深いハード系パンで知られる名店「パーラー江古田」。国産の小麦を中心に自家製酵母、石臼挽きの全粒粉を使い、小麦そのものの力強さを引き出したパンが並ぶ。
パンに使うスパイスは多くない。けれど、定番の「カシューナッツと黒胡椒」では、ブラックペパーがきりっとしたアクセントを添える。「とにかく香りを大事にする」と話す原田さんは、胡椒を挽くのもパン生地を仕込む直前。それは、たっぷりのごまをまとったごまパンも同じ考えだ。挽きたての香りが命。だから口に運ぶと、想像の二倍鮮やかな香りが立ち上がる。
こだわりはパンにとどまらず、サンドイッチに使うハムやサルシッチャ、マスタードまで、すべて手づくり。冬場のザワークラウトにはクミンを、自家製のハムにはクローブやカルダモン、フェンネルなどのスパイスも随所で活躍する。
SPICE
原田浩次シェフのスパイス使い
「サンドイッチに使うメニューは基本的に手づくりで、スパイスもよく使います。なかでもローリエは、さっぱりした料理では物足りなさを補い、こってりした料理では重くなりすぎないよう、全体のバランスを取ってくれる存在です。煮込み料理には特に欠かせず、ないと何かが足りない。ローリエは、味の“下支え”のような役割を果たしています」
FAVORITE
好きなスパイス
「いちばん好きなスパイスはフェンネルです。独特の香りがあって魚料理ととても相性がいい。実は自家栽培もしていて、毎年種を採っています。ムニエルのようなシンプルな料理でも、オリーブオイルにフェンネルとブラックペパーで焼くだけで、十分おいしい。魚料理をつくることが多いので、自然と出番も多くなります。パンには、スパイスをしっかり効かせたパン・デピスやシュトレンにも入っていますね」
常備スパイス
ブラックペパー
「昔、バックパッカーをしていた頃から、胡椒がとにかく好きで。挽きたてを食べたくて、ミルとセットになった胡椒をバックパックに入れて旅していました。市場で手に入れた食材にオリーブオイルとチーズ、そこに挽きたての胡椒をかけるだけのサンドイッチが印象に残っています。今でもイベントでは必ずすり鉢を持参して、その場で胡椒を挽くんです。胡椒は、挽いた瞬間がいちばんおいしいと思っていて。そこは昔から変わらないこだわりです」